例えば、家計簿を例にとるとみんな分かりやすいと思うので、、、
家計簿は、買物、公共料金の支払い等の支出(金額)とそのアイテム(項目)を日付ごとに記録していきます。
更に、買った品名等のアイテムを“食料品”、“衣料品”とか“光熱費”とかの分類をしているかもしれません。
ところで、家計簿をつける目的を考えると、、
その一つに支出を減らすというのがあると思います。減らすための作戦を立てるデータになるわけですよね。
普段より支出が多かったら、その原因を確認して次の月からから「お財布のひもを締めていかなきゃ!」と対策をとることもあるでしょう。
ABC分析というのは、パレート図っていうのを作って、支出の大きい順に項目を並べ替えてどの項目を重点的に節約すれば支出の減らすのに効果的かを見極める分析の手法のことです。パレート図を使うのでパレート分析とも言われます。
パレート図も度数分布を表したものですが、一般的にアイテム(項目・カテゴリーとも、、)毎の度数分布の場合はパレート図が使われ、数値(ある範囲の数値)毎の度数分布の場合はヒストグラムが使われます。
支出の合計の70〜80%を占める項目を“ランクA”80〜90%を占める項目を“ランクB”、残り(90〜100%)の項目を“ランクC”と重点度合いでランク分けすることから“ABC分析”と言われます。
ちなみに“パレート”というのは、イタリアの経済学者の名前“Vilfredo pareto(ヴィルフレート パレート)”から来ています。
家計簿の場合は、支出を減らすための分析になりますが、お店や、企業の場合は売上を増やすために、“売上金額と販売商品”、“売上金額と顧客”なんかがABC分析の対象になります。
他に減らす方は、工場の“不良件数と不良の原因”とか“在庫金額と在庫品目”とか、、、いろいろありそうですね。
ニッパチの法則
ABC分析では“パレートの法則”というのがあって、家計簿の例えでいうと、全部の支出の項目の内、大きい順に並べた最初の20%の項目の数だけで支出の合計の80%を占めるというもので、“80-20の法則”や“ニッパチの法則”ともいわれます。
具体的に言うと、仮に100項目の支出(米、野菜、肉、衣料品、医薬品、家賃・・・とか)があって、支出の合計が100万円(多すぎでしょ!?それとも、大金持ち?)だった時、大きい順の20項目の支出(家賃、教育費とか?)だけで、支出金額合計100万円の80%、つまり80万円を占めると言う法則ですが、必ずしも、20%の項目が値の80%を占めるということではなくて、全体の値の殆どは、僅かな項目で占められるという法則(経験則)を表しています。
ABC分析の目的は?
ABC分析は文字通り分析の方法なので、ある課題を解決するためのツール(手段)でしかありません。
例えば、家計の支出を減らす、商品の売り上げを伸ばす、工場の不良率を下げる、在庫を削減する。。。が最終目標になります。
では、何のためにABC分析をするかというと、、
@課題解決のための重要なアイテム(項目)が何かを明確にすること(見える化)
Aその影響度合い(依存度合い)を把握すること
Bそして、注力するところ、または力を抜くところ(もっと言うと、やめてしまうところ)を見極める。
C注力する方法、力を抜く方法を考える。
D対策を実施した後の効果を確認する
・・・
なんかが、ABC分析をする目的になると思う。。
パレート図の形
パレート図を作った時、必ずしも“パレートの法則”が成り立つような“80-20”のグラフになるとは限りません。
累積構成比の線グラフがもっと急に立ち上がるグラフ(急な形)だったり、なだらかなグラフ(なだらかな形)になることもあるでしょう。。
商品の売り上げで考えると、“急な形”はごく少ない商品で売上の殆どを占めてしまっています。
その商品の売上のバラつきが全体の売上のバラつきに影響を与えてしまい依存度が大きくなってしまっています。その商品が製造中止になったり、納期が遅れたりすると致命的な影響を与えてしまいます。
もっと、売れ筋商品の柱を増やす必要があります。できれば、違うジャンルの商品で柱をつくるのが効果的に、リスクを減らせます。
また、このような場合、少ない売れ筋商品の売り上げを維持するために、注力は可能かもしれませんが、必要以上に力を注がないと維持できなくなっているのかもしれません。。
それとは反対に“ゆるやかな形”は売れ筋商品が何かがつかめません。
リスクは小さいと言えますが、売上を伸ばすために何処に力を注いだらいいかが曖昧になっています。
“商品と売上”の分析だけではなく、“顧客と売上”など視点を変えた分析も行って、課題を見つけ出す必要がありそうです。。
ロングテールの法則
“パレートの法則(80-20の法則)”と反して最近は“ロングテールの法則”と言うのがあります。
これは、インターネットによる本の通販サイト“Amazon”の成功事例をモデルにしたパレート図の形です。
年に1〜2冊しか売れない様な、実際に店舗をもつ書店では在庫が出来ない本をどんどん品揃えに増やしていくと、それらの売上に占める割合が半分以上になるという成功事例です。
実際に在庫を持たないネット通販だから可能になった手法です。Amazonに対抗しようと店舗を持つ書店が年に数冊しか売れない本を沢山品揃えすることは不可能です。
つまり、Amazonは既存の書店に対し明確な差別化をしたということです。
“パレートの法則”は例えばコンビニの商品在庫のシステム(POSシステム)に見られるように、小さな店舗で棚に置ける商品(アイテム)の数が限られている時に、常に売れ筋商品をリアルタイムで分析して、在庫補充をしていくというシステムにその活用を見ることができますが、品揃えするアイテムの数とそれにかかわるコストがどうかによって考え方がガラっと変わってしまうのでしょう。。
そう言えば、TVで地方の大型のホームセンターで、年に1回ぐらいしか売れない様な物でも常に在庫して「あの店に行けば何でもある!」というPRで集客しているというの見たことがあったなー。。
それでは、次は実際にパレート図をExcelで作ってみましょう。
関連ページ
第2弾!“Excelのグラフでパレート図を画いてみた”
第3弾!“ピボットテーブル+ピボットグラフでパレート図を画いてみた”
データ分析の解説